柴犬ですけど…。      その三。

 怖がるといけないので段ボール箱の中に入れておうちに帰ってからふたを開けてください。
 箱ごと奥さんの膝の上に抱かれて店員さんの言うままに家に帰ったのですが、そーと部屋の真ん中に段ボール箱を置いてゆっくりとふたを開けると、そこにはゲロまみれの汚い仔狸が…。
 「車に酔ったのよね。かわいそうに…。」小刻みに震える小さなその仔を奥さんは優しくタオルできれいにしてあげました。
 その間に私は購入したゲージを組み立てて部屋の中に設置場所を確保、水飲みなどのセッティングを行っていました。
 綺麗になったその仔をゲージに入れてこれもまた店員さんに言われた通りにカーテンをかけて落ち着くようにそーとしておきました。
 ほっと一息ついてビールを飲んでいると奥さんが「名前、決めてね。」って、突然に言われて真剣に考えて、普通に犬の名前は嫌なので息子二人の我が家にもしも娘ができたらと考えていた名前、「飛鳥(あすか)」と決めました。
 奥さんに話すと大賛成で、やっと我が家に待望の娘ができたなー、なんてことを話していたらぷーんと臭いにおいが…。
 それは、飛鳥の初うんちでした。


                      つづく