黒柴「桃」  その弐。

           −ペットショップ−

 もちろんペットショップに飛鳥も連れて行って顔合わせもしていたし、普段散歩の途中ですれ違う犬たちともお付き合いできていたので、安心していたのです。
 その一瞬の隙を突いて彼女(桃)は牙をむきました。
でもその時は、すぐに止められたし家の中で急に引き合わせた私が悪いのだと反省もしました。

 飛鳥にも怪我は無くやっぱり犬だからそれぐらいはあるのかなと思いつつ興奮している桃をゲージに入れて落ち着くまでしばらくそっとしておくことにしました。

 一時間ほどして様子を見に行った奥さんが「キャー」。
ゲージの中でうんちをした桃がその上で反復横とびを繰り返しそこらじゅううんちまみれになっていたのです。
 そうなんです、半年間もショップにいた彼女にとって狭いゲージがトイレで中で飛び回るのが唯一の運動だったのです。たぶんトイレの躾や散歩も十分にされてなかったのでは…。

 そんな疑問を解消すべく詳しい事情を聞かせてもらおうとショップを訪ねたのですが「担当の店員は昨日で辞めました。詳しいことは判りません。」と言われて何を聞いても無駄だなと思いそのまま帰りました。

 残ったのはショップでへんな癖がついた凶暴な黒柴一匹。
奥さんと二人で相談してがんばって育てていくことにしたのですが、このあと本当の戦いが始まりました。



                     つづく