秋刀魚。

 「今日の晩御飯は秋刀魚で〜す。」と奥さんに言われて待っていると、飛鳥も横で待っています。

 焼きたての秋刀魚にスダチをかけて醤油と大根おろしでいただきます。
湯気の上がった二匹の秋刀魚、一口二口と食べ進めても飛鳥は動きません。

 二匹目の秋刀魚を食べようとしたとき飛鳥の視線が私に注がれます。
「もう、わたしが食べる番ですよ。」丸でそう言っているような、やさしいけれどはっきりとしたまなざしで私を見つめます。

 はい、私の負けです。

 二匹目の秋刀魚の半分は飛鳥さんが食されました。