深夜の惨劇。

 それは昨夜遅く、家族がみんな寝静まった頃です。
私は夢うつつでその傍らには飛鳥がぐっすりと寝ておりました。

 草木も眠る丑三つ時、眠っている頭の上に何やら気配が感じられます。
ざわざわと何者かがはい回る様子です。

 その気配を察してか、傍らで眠る飛鳥がびくっと起き上がります。

 その瞬間、頭の上の気配が私を飛び越えて飛鳥へと向かいます。

それよりも一瞬早く私の両手がその気配と飛鳥へ動きます。

 「がるるるー、ぐわー。」私の左手には桃の首、右手には飛鳥の首がしっかりと握られています。

 騒ぎに気付いて遅れて飛び起きた奥さんが桃をしっかりと捕まえて落ち着かせます。

 電気を点けてよく見ると桃の首輪が外れています。
ヒート後の情緒不安定な桃が首輪を抜け出して飛鳥に襲い掛かったのです。

 爆睡していた私はなぜかその殺気に気づいてとっさの修羅場を回避しました。

 被害は私の両腕の軽い切り傷だけで済みました。


 あくる朝の何事もなかったかのようにフレーメン顔の桃と…


 雷が怖くて震えて寝込んでいる飛鳥です。