黒柴「桃」    その四。

        −ドッグラン−

 トイレの躾ができた桃は、意外と人間には忠実でとっても柴犬らしい柴犬でした。
 でも、飛鳥に襲い掛かるのです。
じゃれるとかではなく、真剣に血が出るまで噛み付きます。
止めに入った家人もその犠牲となり一人又一人と傷ついていきました。

 「運動不足でストレスが溜まっているのでは…。」「そうだ、ドッグランに行こう。」実は、飛鳥だけのときに一度ドッグランに出掛けたのですが、内弁慶の飛鳥は家の中では走り回るのですが、ドッグランではただただおしっこしてはお座り、匂いを嗅いではお座りでわざわざ行く必要も無くそのまま遠ざかっていたのですが、ネットで調べて滋賀県の今は営業していない、新あさひ風車村ドッグランに出掛けました。
 いつも平日に出掛けるのでドッグランはほぼ貸しきり状態。
飛鳥は以前と一緒でしたが、桃のはしゃぎようはびっくりするほどで、広いフィールドの中を風邪のように走り回っていました。
 何度目かの時、桃とまったく同じ毛並みの「サルーキー」と出会いました。

 なぜだか桃と気が合い、二頭で追いかけっこ。
俊足の桃ですが、大型犬のサルーキーにはどうしても追いつけずへとへとになるまで走っていました。
 ドッグランではよその仔と仲良く遊べるのだと解り、桃の飼い方の方向性が見出せたと思ったのですが…。
 次に行ったドッグランで事件は起きました。
その日は平日なのにすでに数頭の先客がいたのですが…


                  つづく